【ネタバレ注意】シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

 

2021年3月8日

ついに劇場版のエヴァが完結しました。

初めて序を見てからはや14年。自分にアニメの面白さを教えてくれたこのエヴァという作品の終わりを見れたことを素直にうれしく思います。

公開初日に見たのですが、感想をうまく言語化することができず、時間が経ってしまいました。

何とかまとめましたので、ここに書いてみたいと思います。盛大にネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。

 とりあえずの感想

上映時間が約2時間半と長い映画でしたが、あっという間に終わってしまいました。終わった瞬間は、「ああ。エヴァは終わったんだな」と格別の興奮や戸惑いもなく、ただ穏やかに終わりを感じることができました。旧劇やQのように、「なにこれ?」と困惑することもなく、そして今までのように突き放された感覚もなく、「さようなら」と言われた感じがしました。

正直こんなきれいな感じで完結するとは思っていなかったので、少し意外な所ではありました。なんとなくですが、庵野監督が好きなものをどんどん入れていって、でもエヴァはしっかり終わらせる。万人が楽しめる作品で、まさにすべてのエヴァンゲリオンにさようならできる内容だったのではないでしょうか。

そして何よりこの「エヴァンゲリオン」という作品を見ていてよかったなと心の底から思いました。おそらく、今後必ず語り継がれ、伝説になっていくであろう作品の終わりをリアルタイムで見ることができたことに感謝です。TV版、旧劇はリアルタイムで見ていないので、新劇場版からだけですが、それでも約14年の付き合いです。しっかりと終わらせてくれた庵野監督、スタッフ、声優の方々に大例が言いたいです。

 

Qを振り返る

前作Qが公開されてから8年。Qを劇場で見た時の最初の感想は「なにこれ?」。あと一回で本当に終わらせることができるのかと本気で思っていました。Q公開時には2回劇場に足を運びましたが、2回とも結局わけがわかりませんでした。以来Qがは少し苦手だったのですが、最近になってYOUTUBEにもたくさんの考察動画が出るようになり、中でも自分の中でしっくりくるものを見つけてからは、「むしろQが一番面白いのでは?」と感じっられるようになっており、必然的に「シン・エヴァンゲリオン」への期待も高まっていきました。

公開までの8年間には本当にたくさんのことがありました。今の世界情勢もそうですが、監督である庵野監督自身もいろいろあったようです。「風立ちぬ」で主演声優をやっていた時には、「早くエヴァ作れよ」と思いましたし、「シンゴジラ」が出た時には「ゴジラは好きだけどエヴァもやれよ」と思っていました。しかしシンゴジラのパンフレットにも書かれていますが、庵野監督はいわゆる鬱状態であったこと。シンゴジラのパンフレットなのに中身はほぼエヴァの所信表明になっていたことからも期待せざるにはおられず、鬼滅もいいけどやっぱエヴァだなと、公開が迫るにつれてこの作品の大きさを感じました。

作中感じたこと

やはり庵野監督という人は、好きなものを詰め込むんだなと思いました。根本となっているキリスト教、聖書の話、ほかにも今まで庵野監督が携わってきたもの、影響を受けたもの、それらをたくさん盛り込まれていると感じました。TV版はもちろん、ナディア、トップをねらえシンゴジラウルトラマン、ヤマト、ナウシカ、そして東日本大震災。この作品をより楽しみ、理解するためにこれらの作品や起こった事象の背景や経緯、内容を知っておけば、さらに楽しめるのではないかと思います。

 

考察について

今作の特徴としては割と多めに物事の説明がされている点があります。確かに作中新しい単語や横文字が飛び交いますが、根本的に大切なことはすべて説明がなされます。そのうえで今までのような考察というものはあまり必要ないのでは?と感じています。

例えば、終盤に旧劇場版と同じような演出が多くなされており、カオルくんやゲンドウの台詞から「ループ説」や「旧劇の続き」などの説が盛り返してきています。しかし私はループでも続きでもないと考えていて、それはまた今後書きたいと思いますが、今までのエヴァ考察にとらわれて、難解に考えすぎなのではないでしょうか。もっとシンプルで、確かに他のエヴァとつながる点はあるとは思いますが、あまり複雑に考えすぎずに見ると、シンプルに「シン・エヴァンゲリオン」という作品を楽しめるはずです。

 

宇多田ヒカルは天才

序・破の「beautiful world」、Qの「桜流し」、そして今作の「one last kiss」。すべて意味があったんですね。わかっていたはずなのにわかりませんでした。庵野監督という人は劇中で使用する歌や音楽に必ず意味を持たせる人です。そして宇多田ヒカルさんのこの素晴らしい主題歌にももちろん意味がありました。最後まで観た後、もう一度聞くとその意味が分かるはずです。そして、主題歌の歌詞と映像、物語が素晴らしく絡み合っており、やはり劇場版のエヴァは素晴らしいと思います。

これからのエヴァについて

おそらく庵野監督が作るエヴァは本当に終わりなのだと思います。しかし「エヴァンゲリオン」という作品はこれからも新たに作られ続けると思っています。もともと庵野監督は、ガンダムのようにいろんなエヴァを作ってほしいらしく、そのためにも自分が「こんなエヴァもあるよ」と道を作る意味合いも含めてこの劇場版を作ったといいます。ガンダムに限らず、ゴジラウルトラマン仮面ライダーもそうですよね。これからも会社を、人を変え、様々なエヴァが作られていくでしょう。

それは今作のスタッフを見てもわかります。エヴァと言えばでおなじみの摩砂雪監督やキャラデザの貞本さんもいません。そして若手の方の作監家督の起用、そしてエンドクレジットを見てもわかるように非常に多くの方がこの作品に抱えあっています。エヴァを見てアニメの世界に入り、「シン・エヴァンゲリオン」に関わった若い人が新たなエヴァを作っていってくれることを期待しています。

総括

序盤でも書いた通り、私はこのエヴァンゲリオンという作品の終わりに立ち会えたということを素直にうれしく思っています。内容も素晴らしく、エヴァっぽくもあるしエヴァらしくない点もある。でもやっぱりこれが庵野監督が作るエヴァなんだなと思わせてくれる。そして未来も感じさせてくれた。間違いなく日本だけでなく世界のアニメ市場でも伝説となる作品なので、もし、見たことがないという人がいればぜひ見てほしい。見たうえで面白くなければ別にいいし、見たら見たで感じることは人によって異なると思います。それがエヴァであるし、最も私が惹かれる点です。