【ネタバレ注意】シン・ウルトラマン~感想・レビュー

2022年5月14日

「シンウルトラマン」が公開されました。庵野監督が監修を務めるウルトラマンシンゴジラに続く「シンジャパンヒーローユニバース」シリーズです。早速見てきましたので、感想・レビューを書いていきたいと思います。

盛大にネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。

はじめに

私のウルトラマン経歴は、「ウルトラマンティガ」が初めてテレビで見たものです。いわゆる平成シリーズですね。しっかり見たのはコスモスくらいまででしょうか?あまり記憶はありませんが、セブンもビデオで何話か見ています。

また、ウルトラマン自体の設定や、各シリーズのあらすじは結構知っている方だとは思います。初代~レオまで、ある程度は頭に入っています。

全体的な感想

いやー、「ウルトラマン」でしたね(笑)。庵野監督も樋口監督もウルトラマンが大好きだと公言されており、ウルトラマン放送当時の直撃世代で、多大な影響を受けたとおっしゃっています。まずOPからニヤける感じでした。あれは初代ウルトラマンOPのオマージュでしょう。冒頭に「シンゴジラ」のテロップが出ましたが、「ウルトラマン」放送時には「ウルトラQ」と出ていたものを、庵野監督の手掛けるものとして同じユニバースとしての表現だと思います。

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要所要所ツッコミを入れたくなるようなお話であるところも、ウルトラマンを表現しているのではないかと思います。シンゴジラでは、かなりリアリティを追及していましたが、シンウルトラマンでは、リアリティを出しつつも、「いや、普通それはしないだろ」と思ってしまうところもありますが、それが「まあ、ウルトラマンだからいいか!」という感じがしていいですよね。

序盤はシンゴジラに近いテイストで、会話やカット割りも早く、専門用語が飛び交う展開でしたが、徐々にそのテイストも薄くなっていった感じがします。ウルトラマン初登場時にはほんとに全身銀色なんで異質な感じがしましたが、「ウルトラマン」放送当時にテレビを観ていた人も同じ印象を受けたのでしょうか?平成シリーズでは感じることのなかった感覚を味わえたような気がします。

ただ、メタ的な発言が劇中で出てきたのは面白かったですね。劇中でウルトラマン初登場時に出た、「服を着ているのか、裸なのかわからない」というセリフや、ゼットンの1兆度熱球が銀河を蒸発させるという、空想の設定を真面目に解説する面白さがありました。

BGMも最高。要所要所で出てくる音楽や効果音。ウルトラマンへリスペクトを感じます。私は世代が少し違うのでそこまでわかりませんでしたが、当時をしっている人からすると「これこれ!」という感じがするのでしょう。ゼットンは、まんまでしたね(笑)

 

怪獣・外星人について

出てきた怪獣や外星人全部デザイン良かったですね。ガボラネロンガのボディが共通だと劇中で言われていましたが、これは初代ウルトラマン放送時に着ぐるみを流用していたというメタ的なネタと、外星人が生物兵器として送り込んでいたという劇中のネタをうまく融合させていたと思います。

ザラブ星人良かったですね。まず声優は津田健次郎さん。特徴のある声なのですぐわかりますが、今回のテイストは、「テニスの王子様」の乾のような、少し無機質な感じでした。ザラブ星人本人も言っていた、「仕事で来た」という点をしっかりと理解できました。星人にも仕事とかあるんだという意外性と、言われたからやってるという現代社会にもこういう人いるよねという共感も感じます。

デザインもすごくよかったですね!ソリッドボディと思いきや案外ペラペラのボディが非常に斬新でした。

メフィラスは山本耕史さん。この俳優さんもミステリアスな感じが出ている方なので、非常にはまっていたと思います。地球のためだと言いながら、腹に一物を抱えている雰囲気、どこか地球人を見下している感がナチュラルに出ているので、地球より高度な文明を持っている外星人なんだなと、全く違和感なく飲み込めますね。

最後に手を引く、というところも良いです。基本武力行使をせずに、交渉や話術で地球を手中に収める野望という、いわゆる怪獣とはまた違うタイプの星人、本当に自分たちよりはるかに高度な文明を持っている人たちはこうやって攻めてくるかもしれないという妄想が広がります。

ゼットンは完全に巨神兵でした(笑)。これは別記事でまとめたいと思います。

juunikokuki.hatenablog.com

 

長澤まさみ巨大化について

初代ウルトラマンのフジ隊員が巨大化したエピソードをそのままやっていることは明白です。初代もメフィラスに操られたフジ隊員が街を破壊するシーンがありました。それ自体は良いのですが、なんかここだけ異常に安っぽさを感じてしまったのは私だけでしょうか?

 

 

「巨大化」、「樋口監督」のキーワードで思い出すことと言えば、そう、「実写版進撃の巨人」です。私の大嫌いな作品なんですが(笑)、わざとなのかわかりませんが、なんか変な感じでした。とくにビルに持たれるシーンは笑ってしまいました。ただまあ、ウルトラマンだしな、と変に納得してしまう自分もいるのです。

戦闘シーンについて

今回ウルトラマンも怪獣もフルCGでしたので、少し物足りなさを感じてしまったところも正直あります。樋口監督と言えば、超一流の特撮監督です。最も有名なものと言えば「平成ガメラシリーズ」でしょう。日本特撮映画界に燦然と輝く大傑作。公開前はこの天才が描く街破壊シーンや戦闘シーンが見られるのではと少し思っていました。また、「牙狼シリーズ」では、俳優さんの殺陣も非常に素晴らしく、ザラブやメフィラスとは等身大の戦闘シーンを期待していた分、着ぐるみでもいいからリアルなものが見たかったなと思うところはあります。

 

 

ただ、ザラブとの夜の飛行戦闘シーンはすごく好きです。ガメラ3でも超有名なイリス飛行戦闘シーンがあります。それに似た美しさを感じました。やっぱりウルトラマンは夜が似合いますよね!一番似合うのはティガだと思いますけど(笑)。

 

 

モーションアクターは「古谷敏さん」。この方は、初代ウルトラマンでもスーツアクターを務められたレジェンドです。構えとかまんまでしたよね!さすがです。

そしてパンフレットを観ていただきたいのですが、古谷敏さんの名前の横にちゃんと書いてあります。「庵野秀明」(爆)。やりたかったんでしょうね。これは予想ですが、おそらくザラブ星人が化けていた、ニセウルトラマンをやっていたのではないかと思っています。庵野監督は、松本人志との対談で、ザラブ星人の話が一番好きだとおっしゃっていましたし。ただウルトラマン自体も何か所かやっているような気もしますが、何かシンエヴァのようなドキュメンタリーが出て語られるのを待ちましょう(笑)

 

マルチバース

まさか日本映画でこの単語が出てくるとは。最近はMCUもフェーズ4に入りマルチバースがメインの話になっています。「スパイダーマンNWH」、「ドクターストレンジMOM」「ロキ」などはまさにこの話でしたね。正直公開前には少しこのマルチバースに期待していました。「シン」が付く作品、庵野ユニバースとして、異なる次元の話となっているのではないかと考察していました。

今回単語は出てくるものの、詳細について言及はされていません。ではしかし、ゼットンはどこに行ったのでしょうか?もしかしたらシンゴジラの世界に飛ばされて、熱で氷が解けてゴジラ復活!?なんて妄想もしてしまいます。

竹野内豊さん演じる、「政府の男」。これは、シンゴジラで出てきた赤坂さんの変異体?なんて考えが無数にできます。これについても、いずれ別記事で考えをまとめたいと思います。

最後に

特撮好き、ウルトラマン好き、庵野監督好き、いろんな人がいると思いますが、ぜひ見てほしいと思う作品です。映画館の年齢層は高めでしたね。きっと子供のころにテレビでウルトラマンを観ていた方が多かったのではないかと思います。今の派手派手したウルトラマンも良いですが、初代はこうだったんだよとお子さんと観るのも良いかもしれません。