2022年5月14日「シンウルトラマン」が公開されました。庵野監督が監修を務めるウルトラマン。シンゴジラに続く「シンジャパンヒーローユニバース」シリーズです。
今回は、予告編では登場しませんでしたが、劇中ラストにラスボスとして登場した「ゼットン」について、解説と考察をしていきたいと思います。
登場は示唆されていた!
2022年2月13日に、シンウルトラマンの公式ツイッターからある予告が出ていました。
【公開まであと3ヶ月】
— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) 2022年2月13日
皆様のもとへ映画をお届けできるまであともう少し。
どうかお身体に気を付けて今暫くお待ち下さい。#シンウルトラマン #5月13日公開 pic.twitter.com/jRkrGQphY1
時計に示された時刻は「9時39分」。この時刻は、初代ウルトラマンの最終回「さらばウルトラマン」において、科学特捜隊が出動した時刻になります。
わざわざ公式ツイッターを使用してのこの演出。巷ではゼットン登場の示唆ではないかと言われていました。
また、ウルトラマンという話を作るにあたり、最強の敵であるゼットンという怪獣は切っても切れないものです。物語を終わらせる演出上、ゼットンの登場は有力視されていたのです。
ほかのウルトラマンでのゼットンは?
ゼットンは最も有名な怪獣であることから、他のウルトラシリーズでも登場します。
最近のウルトラシマンでも登場するのですが、少し昔のものに限定してご紹介します。
帰ってきたウルトラマン
帰ってきたウルトラマン第51話「ウルトラ5つの誓い」に登場。初代ウルトラマンを倒したゼットンの同族が、バット星人によってウルトラマンジャックを倒すための特訓を受けて育てられたという設定です。
MATの主戦力を全滅させ、バット星人と共に2対1の有利な状況でジャックと戦いますが、最後にはバット星人をジャックのウルトラクロスで失い、自分はウルトラハリケーンで空中に飛ばされた後、スペシウム光線で爆破される。
普通に負けてるんですね。そしてなんかかわいい(笑)
ウルトラマンパワード
『ウルトラマンパワード』最終回「さらばウルトラマン」に登場。サイコバルタン星人によって製造・調整された最強怪獣。パワードの戦闘データに基づいて戦闘力・能力を強化調整されており、パワードの行動パターンや攻撃を完全に解析し、先手を打ちます。しかし、最期はW.I.N.R.アメリカ支部の壁に反射させたメガ・スペシウム光線を振り向いて吸収したために背後をさらし、吸収板が装着されていない背中にメガ・スペシウム光線を受けて爆発します。ですが、ゼットンの消滅と同時にパワードも力を使い果たし、結果として相討ちとなりました。
ちなみに、パワード版ゼットンのデザインは、前田真宏さんです。このゼットン好きなんです!前田真宏さんは、シンウルトラマンでもゼットンのデザインを担当されています。確かに、私も劇場で、パワードのゼットンみたいだなと感じた気がします。
その他!
このほかにもたくさん登場しています。
・ウルトラマンマックス
・ウルトラマンメビウス
・ウルトラマンゼロ
・ウルトラマンギンガ
・ウルトラマンX
・ウルトラマンタイガ
最近のものにもたくさん出ていますね。以前動画で見ましたが、最近のゼットンは進化もすさまじく、テレポートは当たり前、分身はするわ、光線は跳ね返すわで、どうやって倒すんだ状態です(笑)
シンウルトラマンでのゼットン
さて、前置きが長くなりましたが本題です。
いままでのゼットンを観てもわかる通り、基本的には「ウルトラマンでの敵の星人が遣わしてくる怪獣」というのが基本設定です。
しかし今作ではどうでしょうか?
光の星の住人であるゾ-フィが、地球を廃棄処分するために使用した「天体制圧用最終兵器」として登場するのです。
初代ウルトラマンでは、ウルトラマンがゼットンに負けた後に迎えに来てくれるゾフィーが、まさか敵となって、しかもゼットンを遣わしてくるという衝撃展開に驚いた方も多いのではないでしょうか?
そして、他の記事でも書きましたが、このゼットンはナウシカに出てくる巨神兵のオマージュだとも考えられます。地上から見えるゼットンの様子は、まさに巨神兵でしたね。
この登場方法の理由は?
衝撃的な登場の仕方でしたが、この設定にはちゃんと元ネタがあります。
それは、なんと「雑誌の誤情報」です(笑)
初代ウルトラマン放送時に雑誌に掲載されたこの情報、しっかりと「宇宙人ゾーフィがゼットンを使って大暴れする」と記載されています。
しかもこの情報は、1冊だけでなく、復讐の書籍に掲載されていたそうです。
庵野監督自身も、つい最近までこのことを信じていたらしく、誤情報を逆手に取った面白い設定ですね。
今作のゼットンに対する感想
ゼットンは私も大好きな怪獣ですので、感想を書いてみたいと思います。
まず、上記で紹介した裏設定に関しては知らなかったので、かなり衝撃を受けました。ゼットンは出るのではないかと思っていましたが、まさかゾフィーが持ってくるとは。。。
「天体制圧用最終兵器」というネーミングも庵野作品ぽくて良いですね。エヴァというよりはトップをねらえに近い気がします。
そして変形してゼットンの形となっていくシーン。カッコいいですね!好き嫌い分かれるとは思いますが、私は好きです!「ゼットン=無機質なもの」というイメージがある私にとってはドンピシャでしたね。
そして巨神兵オマージュ!裁定者の時点で感じていたところに、「巨神兵東京に現わる」を連想させるあの格好。確信にかわりましたね(笑)
1兆度の炎という設定もしっかりと生きていました。しかも面白いことに、昔「空想科学読本」で紹介されていた、「1兆度の熱球は銀河を蒸発させる」という小ネタがクソ真面目に議論されていたというところです。あれは、知っている人をクスりとさせてくれる設定でした。
ウルトラマンとの戦闘でも、しっかりと初代と同じように赤い光線を放ったり、ゼットンが砲撃している際の効果音は、おそらく「シンゴジラ」のタバ作戦時の洗車の砲撃の音だと思いますので、庵野ユニバースをしっかりを感じさせてくれます。
気になったところ
ただ、基本的に良かったゼットンですが、違和感を覚えたところもあります。
まず、『準備に時間かかりすぎ問題』。すぐに打つのかと思いきや、体を形作ってからは結構待ってくれています。それはお話の都合上良いのですが、シンゴジラでは、ゴジラが休眠状態に入った後、あとどれくらいで再び活動するという時間がしっかりと出ていました。
その制限時間があるからこそ、巨災対が時間に追われつつも成し遂げていく様子が見ていてハラハラさせる場面でしたが、今作はそれがなく、いつ打つんだろう?とただ気になってしょうがありませんでした。
次に『でかすぎる問題』。ウルトラマンが宇宙に行ったときに思いませんでしたか?
「ゼットンでかくね?」と。
確かに太陽系を蒸発させるほどの熱球吐くのなら、それなりにでかいのも後から納得しましたが、ただここまで大きいとは思わなかったので、勝てる見込みゼロな感じが凄かったですね。
そして最後に、『倒し方が意味不明』であること。初代マンでは、ウルトラマンが負けた後、科学特捜隊が謎の銃一発で倒します。それはそれで拍子抜けなのですが、今作は特に意味が分からなく、あれだけ攻撃しても勝てないのにパンチて。。。
とにもかくにも、ゼットンは登場しただけでテンションの上がる良い敵ですね。
特にあの鳴き声というか電子音。
これを劇場で聞けただけでも映画を見た価値があるというものです。
このほかにも記事がありますので、よろしければ。