【ネタバレ注意】シン・エヴァンゲリオン劇場版考察~空白の14年~

2021年3月8日

ついに劇場版のエヴァが完結しました。

初めて序を見てからはや14年。自分にアニメの面白さを教えてくれたこのエヴァという作品の終わりを見れたことを素直にうれしく思います。

今回は、ある意味劇場版エヴァ最大の謎である、破~Qの間である14年について考えたいと思います。

盛大にネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。

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 シン・エヴァンゲリオン劇場版。良かったですよね。シンプルに良かったです。

見た後の感想は前回の記事でまとめていますので、良かったらご覧ください。

juunikokuki.hatenablog.com

 

エヴァと考察

タイトルにしている空白の14年に入っていく前に、エヴァと考察の関係性について考えたいと思います。

エヴァ」と「考察」というものは切っても切り離せない関係です。それは、この物語の設定や展開が並みのアニメとは一線を画すレベルで難解かつ繰り込まれており、公式から詳しい説明もないまま進んでいくためです。そしてその設定自体は庵野監督はじめスタッフの方々の手によって練り上げられています。おおもとの設定がキリスト教聖書の話であり、ただでえ世界中で議論されていて、解釈も異なるテーマを扱っているため、必然的にエヴァにも様々な解釈が生まれ、結果として考察も増えているのです。

昔から考察系は多くありましたが、最近ではネット、SNSのさらなる発展も重なって、youtubeやブログで「エヴァ 考察」と検索すると本当に多くの考察が出てきます。関係者なのかなと思わされるような素晴らしいものもあれば、何を言っているんだろうというちんけなものあります。ただ、新しいエヴァが出るたびにこのような考察増えていくので、エヴァに慣れている人は、この考察があふれている様子も楽しかったりします。

しかし、これらの考察が出るたびに話題に上がるのが、「庵野監督は本当にそこまで考えているのか?」ということです。ただこればかりはわかりません。答えは庵野監督の頭の中にあるのでしょうし、設定自体は庵野監督の好きなものが詰め込まれている感じは見て取れますが、果たしで裏の裏まで考えているのかと言われれば、少し疑問に感じるところもあり、ファンの暴走とも思う時もたまにあります。まあ、それが悪いということは全然ないんですけどね。

 

 

空白の14年

さて、本題に入っていきましょう。そもそも今この空白の14年の話題が再熱しているのは、劇中、加地さんとカオル君の絡みが出てきたためです。そして問題の「渚指令」というワード。加地さん自体もサードインパクトを阻止するために殉職していたという事実も明らかになったことでこの話題が復活してきたのです。ですので、今回は空白の14年全体というわけではなく、加地さんとカオル君に重点を当てていきます。

では、この空白の14年の間に何が起こったのか。最初に破の次回予告を見てみましょう。

レイとシンジを取り込んだまま凍結されるエヴァ初号機
廃棄される要塞都市
幽閉されるネルフ関係者
ドグマへと投下されるエヴァ6号機
胎動するエヴァ8号機とそのパイロット
ついに集う、運命を仕組まれた子供達
果たして生きることを望む人々の物語は何処へ続くのか

この中で完全にわかっていることは、「ドグマへと投下されるエヴァ6号機」だけだと思います。それはサードインパクトが起きたこと、QでMark.6がいたことからも間違いありません。他も今考えればそうなのかなとは思いますが、確証はありません。

ちなみに私は、ニアサードインパクトサードインパクトは完全に別物だと思っています。

話が逸れました。今作で加地さんが「渚指令」と呼んでいたのはなぜなのでしょう?というよりなんの指令なのか?そもそもこれは現実かイマジナリーなのか?という問題も出てきます。個人的にはこれは空白の14年の間の出来事なのかなと思っています。

先に私の考えをまとめておくと、

  1. ゲンドウと冬月はゼーレにNERVトップの座を追われた
  2. カオル君はニアサードを止めた後にゲンドウの後釜としてNERVのトップになった
  3. 加地はNERVとゼーレの二重スパイだった

まあ「考察」というよりは、「予想」です。

①については、破のラストでの加地さんの台詞からわかります。

「数のそろわないうちに初号機をトリガーとするとは、碇指令、ゼーレが黙っていませんよ」

こう言っています。つまりゼーレが怒ってるよということです。ゼーレが望んでいる人類補完計画から明らかに逸脱した行為をしていることが明るみになってしまったからこそ、人類補完計画を遂行する組織であるNERVのトップの座を奪われたのでしょう。破の予告の中でゲンドウと冬月が旅をしている様子のカットもありました。このことを示しているのかはわかりませんが、可能性は高いと思っています。

②についてが今回の予想です。破の予告でカオル君と他の4人がいる画像では、カオル君が指令服を着ているような描写があります。事実今作では完全に指令服を着ていましたし、「渚指令」という台詞からもカオル君はゼーレによって送り込まれたのではないかと思った次第です。

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③については、TV版もそうでしたし、ゼーレとNERVの情報どちらも持っていることからもわかると思います。

【NERV側】

ベタニアベース、仮設5号機の破壊。

ネブカドネザルの鍵入手。

【ゼーレ側】

インパクトの起こし方を知っている。

ゼーレの考えを理解している。

 

インパクトの情報を持っていることから、かなり深いところまでかかわっていることは間違いないでしょう。加地さんがどのようにしてサードインパクトを止めたのか、妄想の域を出ませんが、起こし方も止め方も知っており、上記の行動からも二重スパイの説は高いと思います。

 

補足

そして、今回「カメラを止めるな」で有名な上田監督の感想が最も自分にしっくり来たので、自分なりの解釈に落としてご紹介します。

エヴァンゲリオンという作品は、今まで日常に戻ってこなかった、それは物語を作る上での基本ではなく、日常に戻らないことで、観客は現実に戻って来ることができず、夢の中にいる。だから観客それぞれが夢の中で物語の補完をして考察をする。そして別の誰かが行った補完に影響された別の人がまたその補完をする。その繰り返しで25年かけてみんなでエヴァを補完し続けてきた。けれど今回エヴァは日常に戻ってきた。だから本当にこれでエヴァはおしまい。だからもうこれからは考察ではない。細かな設定について考えることはあるけれど、もうこれ以上の考察はない。

本当にこの通りだと思います。ですので今回タイトルは「考察」としていますが、ただの予想です。いろいろ行間にあるものを考えることは面白いですが、私たちも今までのエヴァの考察よりもこれからのエヴァの期待を語るべきなのかもしれません。

だから今回たくさん出てきた新設定や世界観、ループ説だとか、惣流だ式波だとか、いっぱい出てくる槍とか、ゴルゴダオブジェクトとか、たくさんありますけど、それらについてあーでもないこーでもない言うのは野暮というものだと思っています。それよりも2時間半の間に細かくちりばめられた演出により、各キャラは何を感じて行動しているのかを考えていくようにしたいと思います。

まあ、考察しますけどね!