本記事は十二国記新刊「白銀の墟 玄の月 」考察です。
ネタバレを多々含みますので、まだお読みでない方はお引き返しください。
異端の鳩
今回は新刊の中でも多くの謎を生んでいる、宮中内にはびこる「鳩」について。これがどのような意味を持っているのかを考察していきたいと思います。
鳩とは?
今回唐突に登場した鳩。白圭宮内で鳴いている描写が数回描かれています。
そもそもなぜ宮中に鳩?と読んでいる中で印象が強く残るものです。実際に浹和は、鳩がずっと鳴いている状況にストレスを抱えています。
また項梁は、ひどい倦怠感に襲われており、これが宮中にはびこる魂を抜かれた人たちの元凶になっていると推察されます。さらに平仲に至っては、勝手に部署移動しており、疑問が残る状況です。
鳩が意味するものは?
鳩はどこから来たのか?そしてその目的は何なのか?
ここで考えられることは、「全員被害者説」です。
4巻のあらすじにもあるように、鳩は「妖魔」と表現されています。
ではどこから来たのか?以下の2つが考えられるでしょう。
①黄海もしくは戴の中から沸いた非常に高度な妖魔。
②別の国の麒麟が遣わした使令
それぞれの根拠を考えていきます。
①黄海もしくは戴の中から沸いた非常に高度な妖魔
妖魔には様々な種類がおり、その力も非常に多種多様であることがわかっています。
有名所では以下のようなものがあります。
・班渠(はんきょ)
景麒使令。種族は猗即。脚が速く、最速の騎獣に匹敵する。
・悧角(りかく)
延麒使令。種族は錆翡。妖魔としての格は筆頭クラスで、俊足。
・雀胡(じゃっこ)
ウサギ。種族は飛鼠。はほぼしゃべることも不可。
・傲濫(ごうらん)
泰麒使令。種族は饕餮。他の使令達が本能的に近付くのも恐れおののく程の強烈な妖気を放つ、妖魔の中でも別格中の別格として扱われている。転変も可能。
また、図南の翼をおぼえているでしょうか?
・朱厭(しゅえん)
高度な知能を持ち、笑うことすら可能。
・人妖(にんよう)
人語をしゃべり、相手を騙す高度な知能とキメラのような外観。
・酸與(さんよ)
4枚の翼をもち、空を飛ぶ大蛇。
黄海だけでも異次元レベルの妖魔がうじゃうじゃいることがわかります。また、柳の荒廃具合から妖魔の側がおかしくなっているとみている人物も多くいます。国の荒廃によって戴に出現した高度な妖魔である鳩は朱厭のように、幻術を使って人々を惑わせ、あるいは魂を抜いて傀儡のようにして楽しんでいるのではないでしょうか。阿選などは気づいているが、鳩の力が強く手が出せないでいる。
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②別の国の麒麟が遣わした使令
思い出すのは塙麟が陽子を襲撃する際に、蓬莱まで使令を派遣したことです。
ではこのケースでは誰が戴に妖魔を派遣しているのか?考えられる国は柳しかありません。柳は極めて優秀な法治国家として名高く、治世120年という比較的長期王朝です。しかしその柳は最近様子がおかしい。すでに沿岸部には妖魔が出現するほど荒廃が進んでいるとのこと。これは異常事態だと考えられ、巧と似たような状況になりつつあることが気になります。
なぜ柳がそんなことをするのか?本編にそれを匂わす直接的な描写がないので、あくまで推察の域を出ませんが、劉王は、近年施政に興味を失くしたかのように振舞うようになっていることから、遊びのような感覚でやっているのかもしれません。もともと劉王は官吏であったことから一度羽目が外れてしまうと恐ろしいものになるのかもしれません。
疑問点としては、なぜ宮中全員に効かないのか?ということです。対象を選んでいるのか、もしくは効果が発動する条件があるのか、現状では推察の域を出ません。おとなしく3、4巻を待つしかないようです。
鳩一羽でここまで考察ができます(笑)
3、4巻でどのような種が明かされるのか楽しみです。
続きです。よろしければ、、
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