2022年5月14日「シンウルトラマン」が公開されました。庵野監督が監修を務めるウルトラマン。シンゴジラに続く「シンジャパンヒーローユニバース」シリーズです。
今回は、劇中で登場したメフィラス星人は、どのような計画で地球を乗っ取ろうとしていたのか。少しわかりにくいところもあると思いますので、解説、考察していきたいと思います。
盛大にネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。
メフィラス星人とは?
まずはメフィラス星人について知っていきましょう。
メフィラス星人は、初代ウルトラマンに登場した宇宙人で、それまでの怪獣とは異なり、暴力を嫌い、武力に頼らない地球征服にこだわっています。非常に知能も高く、紳士的な口調で話します。
初代マンでは、科学特捜隊のフジ・アキコ隊員を記憶と言葉を喪失させて怪獣サイズに巨大化させました。
また、地球人の代表として、フジ隊員の弟・サトル少年を選び、侵略の理由を得るために彼が「地球をあげます」と自発的に言うよう穏やかな口調で仕向けますが、申し出を拒絶され、巨大化してウルトラマンと対決します。
ウルトラマンとほぼ互角の戦闘力や超能力を持つ強敵ですが、
「宇宙人同士が戦ってもしょうがない。私が欲しいのは地球の心だったのだ。だが、私は負けた。子供にさえ負けてしまった。しかし、私はあきらめたわけではない。いつか、私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。必ず来るぞ」
と言い残して退き、テレポーテーションで地球を去りました。
メフィラス星人は、他のウルトラシリーズでも登場し、「タロウ」や「メビウス」でも出てきます。バルタン星人やゼットンほどではないにせよ、そこそこに知名度のある星人です。
シンウルトラマンでは
メフィラス星人は何をしに来たのでしょう?
目的は、地球資源(人類)の独占管理です。
シンウルトラマンでの設定を見ていくと、前提として、地球人が知らない間に、高度な文明を持つ生命体同士の星間戦争が起こっていましたが、両者滅亡などが相次いだため、星間条約を締結し、生物兵器以外は認めないという約束を交わしています。
しかし、作中序盤で、ウルトラマンが人類と融合し、ベータボックスを使用した巨大化により、人類が生体兵器となることが図らずとも証明されてしまいました。
そこでメフィラス星人は気づいたのです。「あれ、人間って兵器になるくね?」と。地球を支配下に置くことで、70億もの生体兵器を自分が管理することができ、他の星に侵略することもできる。この有効資源を他の星人に荒らされる前に独占したいと考えたのです。
メフィラス星人は、まずベータボックスを使用して長澤まさみを巨大化させたり元に戻すなどのデモンストレーションを行い、自分の持つ圧倒的な科学力を見せます。地球以外を知らない人類に対して、外星人にはどう頑張っても武力や科学力では勝てないことを突き付けたのです。
現に滝くんは、「勝てっこない」となっていましたね。
やはり、初代マンと同じように、武力は使わず、外交や交渉により地球を支配しようとたくらみます。
その手順は見事なもので、人類が知らない他の知的生命体の情報を渡し、ベータボックスも譲渡することで、自己防衛の手段(人類の巨大化による対敵性外星人からの自営計画)を提案します。
対価としては、自分(メフィラス)を人類を上位存在として認識すること。つまり隷属させることにより、メフィラス星人は70億もの兵器を無傷で手に入れることができます。
メフィラス星人は用意周到です。ウルトラマンをおびき出すために、地球に放置されていた生物兵器(怪獣)を目覚めさせたり、ザラブ星人を利用したりと、作中初期から着々と準備をしていたのです。しかも「現地調達でお得」というサラリーマン思考。コスト削減能力もバッチリです。
さらに、メフィラス星人は、政府と密約を交わし、条約を結んでしまっています。そこに禍特対のメンバー+ウルトラマンでベータボックスを奪取。計画をつぶされたメフィラス星人は、巨大化し、ウルトラマンと戦闘が開始されます。
ウルトラマンと互角の力を持つメフィラス星人、対してウルトラマンは地球上では制限時間があるため、パワーを発揮できず、そのまま続けていれば、メフィラス星人が勝っていたであろう展開でしたが、ゾーフィが来ていることが分かったことで、地球からは手を引くと言い、去っていきました。
感想レビューの記事でも書きましたが、
演じていた山本耕史さんが実によくハマっていましたね!どうしても新選組の土方歳三のイメージが強いのですが、結構ミステリアスな雰囲気を持っておられる役者さんだと思いますので、笑顔の裏にある底れない思惑や、いいことばっかり言いながら交渉してくる相手信用できないということを教えてくれました(笑)
なぜメフィラス星人は帰ったのか?
それは上述したように、ゾーフィが来ていることが分かったからです。シンウルトラマンの世界では、光の星の掟は割と有名なようで、この後ゾーフィが何をするか想像できたのでしょう。
つまり、ゼットンを使用した、地球の廃棄です。要は巻き込まれたくなかったのでしょう。
ちなみにゾーフィは、ウルトラマンが人類と融合したことが、光の星の掟違反としてやってきていました。
本質は同じ
初代マンとシンウルトラマンに登場するメフィラス星人は、その方法は違えど、武力を使用せず地球を支配するという基本コンセプトは同じでした。
「ウルトラマン=怪獣と格闘戦をする。」というイメージが強い人たちにとっては意外な敵だったと思います。
ウルトラマンのシリーズにはこのような異質な星人もちょいちょい出てきます。そしてそいつらは往々にして魅力的です。ウルトラセブンに出てくるメトロン星人などは有名ですね。気になれば、どこかで観てみてください。
このほかにも記事がありますので、よろしければ。