【ネタバレ注意】ファンタスティック・ビースト~ダンブルドアの秘密~感想・レビュー

2022年4月8日

ファンタスティック・ビースト~ダンブルドアの秘密~が公開されました。ハリーポッターシリーズの過去を描くファンタビシリーズの第3作。早速見てきましたので、感想・レビューを書いていきたいと思います。

盛大にネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。

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はじめに

まず私のハリポタ遍歴ですが、完全に「原作派です」。設定、キャラ、呪文もそれなりに頭には入っていると思います。映画ももちろん観ていますが、やっぱり原作が一番面白いよなーと思っている感じです。

ファンタビシリーズに関しては、「1」「2」とも劇場では観ておらず、むしろスピンオフということで少し避けていた面もありました。しかし、数年前アマプラで観たことをきっかけに、非常にハマってしまい、映画としては、ハリポタよりも好きかもしれません。

個人的にファンタビの好きな所は、話がダークな所です。1作目などは動物たちもたくさん出てきて楽しいじゃんと感じるかもしれませんが、私はむしろ死の秘宝よりも話としては重ためで、現実世界ともつながるテーマなのかなと感じています。

また、ハリポタ本編ではわずかな登場であった、「グリンデルバルド」が明確に映像化された点もうれしかったですね。ハリポタ本編には出ていなくとも、何らかの関係や血縁を匂わせる設定も好きです。少しひねくれた見方かもしれませんが、単純に動物たちがたくさん出てきて楽しい!というよりは、大好きなハリポタシリーズの過去編という見方をしています。

 

感想~良かった点~

本当は話をはじめからあーだこーだ言いたいのですが、少し要点を絞って感想を書いてみたいと思います。

マッツ版グリンデルバルド

本作で大きく変わったところと言えば、やはりグリンデルバルドを演じる役者が変更されたところだと思います。「1」「2」ではジョニー・デップが演じていましたが、裁判で敗訴したことにより降板させられてしまいました。

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ジョニー・デップ演じるグリンデルバルドは、非常にミステリアスかつカリスマ性にあふれ、言葉巧みに信奉者を増やしていく様子は、ヴォルデモートとはまた違った形での闇の魔法使いを表していたと思います。このグリンデルバルドだからこそ、クイニーも闇落ちしてしまうのも納得できたし、クリーデンス懐柔にも説得力を感じていました。

しかしながら、ジョニー・デップ降板により、演じる役者はマッツ・ミケルセンになりました。正直全くタイプが異なる役者なので、どうなるのだろうと思っていましたが、観てみるとこれがまた見事にハマっており、今回の話の流れなら、ジョニー・デップではなく、マッツ・ミケルセンだなと思わせてくれました。

今作の脚本が元々こうだったのか、それとも俳優に合わせて変更したのかはわかりませんが、前作から重厚感、威圧感が増したグリンデルバルドは、政界に出てくるという展開にも全く違和感を感じません。これがジョニー・デップなら、前作の集会規模ならともかく、国際魔法連盟の会長選となると少しうさん臭さが出てしまったのかもしれませんね。

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正直冒頭からいきなり予告編でも出てきたダンブルドアとの対話シーンが来るとは驚きでした。ですが、あの場面だけでマッツ版グリンデルバルドに引き込まれてしまったのも事実。メタ的なことを考えれば、劇中で「顔が変わっているな」などのイジリがあるかと思いましたが、それはありませんでしたね。ワーナーが厳しいのでしょうか?

なお、最近「呪術廻戦0」を見たからでしょうか、グリンデルバルドが「悪臭がする」と言った場面で、夏油傑さんを思い出してしまいました(笑)。前作はそこまで言ってなかったのに、「猿」と言わなくて安心しましたが、よく考えれば、ダンブルドアとの関係性もどことなく夏油と五条悟との関係性にも似ていますね。まあ作者も意識はしていないとは思います、両者の背景も全く異なりますし。

 

人間界と魔法界の描き方が良い

私がファンタビで好きな要素の一つとして、世界観の描き方があります。ハリポタシリーズでは、基本的に話はホグワーツで展開され、「どこかにあるかもしれない魔法学校のお話」というイメージなのですが、ファンタビでは、「この壁の1枚向こうに、自分たちの全く知らない魔法の世界があるかもしれない」と思わせてくれるのです。

魔法動物に関してもそうですが、人間界と魔法界は紙一重という描き方がされているため、もしかしたら自分の近くにも魔法があると錯覚させてくれます。そのため、ハリポタシリーズよりも魔法描写はファンタジー館が強いものの、どこか現実味を感じる作りになっているように思います。

今作では舞台が、中国、アメリカ、ドイツ、イギリス、ブータン等世界各国に散らばっており、それぞれの国にちゃんと魔法界が存在しているんだなと感じさせてくれます。もしかしたら日本にもあるのだろうか?と考えるだけでもワクワクしますね。

特にブータンは良かったですね。ブータンに詳しくはないですが、高所にあるお寺や、町並みなどはそれらしく感じました。まあ、なぜ大事な選挙を欧州ではなくアジアで行う必要があるのかとは思いましたが、、、今までは特にイギリスが話の中心だったので、少し違和感はありましたね。

反対に、ドイツの舞台はベルリンで、魔法省もそこにあるという設定でしたが、正直ドイツ感はほとんど感じられず、なんで舞台の1つに設定したんだろうという疑問はあります。これは映画的に難しいとは思いますが、もうその国の言語で喋ってくれて良いのにとは思ってしまいました。字幕つけてくれれば読めるので、皆英語で喋ってしまうと雰囲気が一緒に思えてしまうのは、私だけでしょうか?

 

ダンブルドアの戦闘シーン

結局私はこれが見たかったんだなと思ってしまいました。そもそもダンブルドアという魔法使いは「最強」です。それはハリポタでもシリーズを通してずっと言われ続けていたこと。設定上グリンデルバルド同等とされているヴォルデモートも恐れていたことからも間違いなくダントツの強さなのでしょう。

「なのでしょう」と書いたのは、今までほとんどその強さの描写が戦闘シーンで描かれていなかったためです。ハリポタ本編で明確に戦闘を描かれたのは「不死鳥の騎士団」でのヴォルデモートとの対決シーンでした。それまでの魔法とは一線を画すレベルでの描写はダンブルドアが最強と言われても十分納得できるものでした。しかし、もっとその描写を観たいと思う人は多かったと思います。

特にファンタビシリーズのダンブルドアはまだ若く、年齢的には全盛期と言っても過言ではないと思われます。今作では、クリーデンス、グリンデルバルドとの戦闘シーンが描かれ、合計でも3分もなかったとは思いますが、十分にダンブルドアの異常な強さが見られましたね。

クリーデンスとの戦闘では、一瞬で鏡の中の世界?にて戦闘を行い、終始余裕を見せながらクリーデンスを圧倒していました。「1」「2」を観ていれば、オブスキュラスを宿すクリーデンスの強さは知るところであり、さらに杖まで手に入れパワーアップしているのにも関わらず、全く歯が立っていませんでしたね。派手な魔法はありませんでしたが、レベルの違いが明確に描かれていました。

グリンデルバルドとの戦闘は圧巻でした。ほんの一瞬ではありましたが、高次元の戦闘とはこうなのだと感じました。そしてニワトコの杖相手にも全くヒケを取らないダンブルドアはそこが見えません。グリンデルバルドがダンブルドア戦でいかに本気で戦っていたかは、この後のシーンでよくわかります。グリンデルバルドが逃亡する際、5.6人が一斉に魔法を放っていましたが、グリンデルバルドは、泡みたいなもの展開しただけで全く焦っている様子はありませんでした(しかも1回目ではすこし日々が入っただけ)。ダンブルドア戦では身をよじってまで回避していたので、ダンブルドア以外ではグリンデルバルドと対等に戦うことはできないのだとわかるシーンでもあります。

また、この戦闘では「ローグ・ワン」ラストでのダースベイダー登場シーンに似たものを感じました。

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ダースベイダーもスターウォーズを代表する悪役キャラではあるものの、スターウォーズ4~6では圧倒的に強そうな描写はそんなにありません。しかしローグワンではラストに暗闇からライトセイバーとともに登場に、反乱軍を蹴散らしていました。そのさまは、1分程度でしたが、「ダースベイダーって本当に強くて怖いんだ」と感じさせるものでした。今作で血の誓いペンダントが破壊されてからの約1分程度の戦闘シーンは鳥肌立ちっぱなしでした。

2つのシーンは作品も趣旨も異なりますが、キャラクターの圧倒的な強さを表現されているという点で、共通のものを感じました。

・ジェイコブの存在

ジェイコブは作中唯一マグルのメインキャラですよね。彼の存在というのは、ハリポタに慣れている人間から見るととても新鮮で、マグルと魔法使いが一緒に行動しているシーンを見ているだけで、どこか自分を重ねてしまいます(うらやましい!)。

そんなジェイコブは完全な善人として描かれており、底抜けの明るさと誠実さは観ていてとても気持ちのいいものです。今作でもそこは全く変わらず、正しいことを正しいと言える存在であり、前作で闇落ちしてしまったクイニーを決してあきらめない、愛し続けている点は尊敬すら覚えます。

普通ならイレギュラーとなるはずのマグルがここまで何の違和感も感じさせないキャラクターであることは、ダン・フォグラーの好演がなせる技だと思います。ファンタビはニュートが主人公であることは間違いないのですが、個人的にはジェイコブの活躍が楽しみで、あと2作どのような活躍を見せてくれるのか楽しみです。

 

 

少し長くなってしまったので、気になった点は次回にしたいと思います。