本記事は十二国記新刊「白銀の墟 玄の月 」考察です。
ネタバレを多々含みますので、まだお読みでない方はお引き返しください。
戴の宝重については、多くの考察がなされています。そしてそれは驍宗の状況にも関わっている可能性も高いため、今回はその宝重の正体と効果について、様々な説とともに考察していきたいと思います。
回復系
慶国の宝重の一つである、『碧双珠』と効果がかぶっています。
驍宗は出陣時に宝重を持っていたと言われており、一説では逆賊に襲われた後、この宝重の効果で一命をとりとめたという説もあります。
しかしこれはどうでしょう?もし宝重を使っていたとするならば、とっくに回復しているはずではないでしょうか。碧双珠を使えば、深めの傷でも割と早く治っていた描写があります。宝を使って6年はかかりすぎだと考えられます。
また、メタ的なところでは、すでに慶で出ているため、同じような効果の宝がこのタイミングで出てくるのかという疑問もあります。
姿を変える系
これも範国の宝である『蠱蛻衫(こせいさい)』と効果が被っています。
この説がでた理由としては、老安で死んだ武将は驍宗からこの宝重を借りて影武者を務めていたといいます。蠱蛻衫は、「被った者の姿を見た者に好ましい様に変じて見せる」という効果でしたが、こちらは自由に変えられるというものなのでしょう。
しかし、こちらもメタ的なところから可能性は低いと思われます。
瞬間移動系
そもそも戴の宝重について言及しているのは琅燦のみです。それによると空行師でも数日かかる距離に対して効果があるものであるということでした。使えるのは、王か台輔、戴の国氏を持つものとされています。距離に対して有効であるということは、使令のように地脈を通って移動できる類のものであると想像されます。あるいは騎獣のようなものかもしれません。
これはあくまで考察ですが、姿を変えて移動するものであるとすると、驍宗はそこを突かれて出てこれなくなっている可能性も考えられますね。
また、「戴の国氏を持つもの」という設定は重要です。そう、阿選は驍宗と同姓です。阿選も使える可能性は十分にあるということです。宝重使用者の条件は国によって違うため、今後重要な要素となってくる可能性は十分にありますね。
各国の宝重は?
【慶】
水禺刀(すいぐうとう)
真の所有者である景王のみしか使用不可能な名刀。魔力甚大な妖魔を滅ぼす代わりに封じ、剣と鞘に変えて宝重としている。封じこんだのは達王。
上手く支配できれば刃が輝き、水鏡を覗く様に未来・過去・遠くの事象でも映し出すことができるが、気を抜けば幻を見せるため、鞘で封じている。鞘で封じる以前、当初は長い柄の偃月刀(えんげつとう)であり、水鑑刀(すいかんとう)と呼ばれていた。鞘で剣を封じて以来、主が変わる度に形を変え、たとえ斧であっても棍棒であっても、必ずその形に応じて鞘がつく。
鞘は、変じて禺(さる)を現す。禺は人の心の裏を読むが、こちらも気を抜けば、持ち主の心を読んで惑わすため、剣で封じている。
現在は陽子が禺を殺した結果、鞘の方が力を無くしているため、景王でなくとも抜刀はできる。しかし持ち主以外が抜き身の剣を振るっても藁すら切れない。普通の刀剣とは違って立て続けに動物を切っても血糊で切れ味が鈍ることがない。
碧双珠(へきそうじゅ)
ピンポン玉大の、ガラスのような光沢のとろりとした青色の宝玉。怪我や病気を癒す力がある。空腹感を薄れさせることもできる。
【漣】
呉剛環蛇(ごごうかんだ)
銀の腕輪。蛇の形をしており、使用時には、蝕を起こさずに十二国と、蓬莱や崑崙に穴を通すことができる。二形を持たないもの(使令は通せる)や人(仙を含む)は通すことができず、一度に大勢も運べないなど制限も多い。泰麒捜索の際に役立った。
【才】
華胥華朶(かしょかだ)
宝玉で出来た桃の枝。枕元に差して寝ると花が開き、華胥の夢を見せて理想の国のあるべき姿を悟らせてくれると言われていた。実際には、自身が迷った時や自分の本音が分からなくなった時、その人自身の理想の国を夢で見せてくれる力を持つというものだった。梧王・砥尚の時に、枝が折れて欠けた状態になった。
【範】
蠱蛻衫(こせいさん)
薄い紗のような衣。纏った人の姿が、それを見る人にとって好ましいように見える衣。
鴻溶鏡(こうようきょう)
映った者を裂いて増やすことが出来る鏡。遁甲できる生き物に限り、理屈上は無限に裂くことが可能。ただし、裂いた分だけ、能力も弱まる。
【巧】
腕輪
塙麟がつけている腕輪。アニメ内では景麒の角に呪をかけ、霊力を封じるために使った。
宝重については、3・4巻で言及されると信じています。
どのような効果なのでしょうか?また、驍宗失踪に関係があるのか、楽しみに待ちましょう。