本記事は十二国記新刊「白銀の墟 玄の月 」考察です。
ネタバレを多々含みますので、まだお読みでない方はお引き返しください。
新刊とその続きは?
今回は新刊が発売されてから、ネットで次々と出ている様々な考察を紹介していきたいと思います。
多くの新キャラ、衝撃展開の数々、各キャラの読めない心理、謎多き終わりかた。
少し挙げてみましょう。
・泰麒は李斎と別れて王宮行き
・なぜか無気力な阿選
・いきなり登場謎の手練れ鎧集団
・失踪前の驍宗と話してた一般人
・唐突な白幟集団
・鳩
・敵か味方かわからない琅燦
次に各人物の状況を整理します。
驍宗の朝廷の主だった官の行方
冢宰 詠仲 → 鳴蝕の際の怪我により宮中で死亡
天官長 皆白 → 行方不明
地官長 宣角 → 阿選によって処刑
春官長 張運 → 阿選の朝で冢宰に昇進、驍宗の復位を阻止したい
夏官長 芭墨 → 謀叛の疑いをかけられ王宮を脱出、逃亡するも、その後処刑
秋官長 花影 → 謀叛の疑いをかけられ王宮を脱出、自ら行方不明に
冬官長 琅燦 → 太師に昇進、阿選の朝の現状維持のため助言する
禁軍左軍将軍 巌趙 → 更迭
禁軍右軍将軍 阿選 → 王位簒奪を企む
禁軍中軍将軍 英章 → 自ら行方不明に
瑞州左軍将軍 霜元 → 自ら行方不明に
瑞州右軍将軍 臥信 → 国の財産持ち出して自ら行方不明に
瑞州中軍将軍 李斎 → 謀叛の疑いをかけられ逃亡、泰麒を泰に連れ戻す
瑞州州宰 正頼 → 阿選に捕らえられ拷問を受けている?
大僕 潭翠 → 芭墨と一緒に行方不明に
阿選普通に悪者説
黄昏が出版されたとき、誰しもが思ったことですね。驍宗が王になったことを影から憎み、王位を簒奪。戴を妖魔が蔓延る地に変えた悪魔。
実際に驍宗はいかの人物は多くが処刑、行方不明となり、阿選に反逆したものは里ごと焼き払われるという恐怖政治を敷いているとりさいは言っていました。
新刊でも未だ阿選の真意はわからぬまま。小野主上が何の捻りもなく物語を作るとは思いきれませんが、メインとなる説であることは間違いありません。
驍宗生きてる説
2巻終盤で作中6年前に大怪我をおい、里に運ばれた武人、驍宗の外見と一致し、かつ主上と呼ばれる人が亡くなりました。作中では驍宗と思われているのが多かったですが、必ずしもそうとは言えないようです。
・武将が亡くなったのと泰麒の姿が消えたもが同じころって李斎言ってる。その後に白雉が動いていることが確認されているため死んではいないのではないか?
・最期の言葉が「せめて台輔を」であること。本当に驍宗ならば、そこは「蒿里」でしょう。せめて「泰麒」。
・だったら死んだのはダレ?って話ですが、謎です。「御髪は白、眼は紅」が本当ならいよいよ誰?影武者?そう言った人がじつは、って可能性はあるんだろか
・泰麒が突然膝をついたシーン。
これは驍宗が亡くなったからではないか?と思うわせる感じが強くありました。しかし、その後の心配する項梁たちに対して泰麒は、「…間の悪いことでした。土遜を逃してしまいましたね」と述べます。もし本当に驍宗が亡くなっていたとして、泰麒の心理描写がないので、何を考えているのか全く分かりませんが、驍宗の死を知ったとして、そこまで冷静でいられるものでしょうか。
・主上の顔をよく知っている人李斎、項梁が誰も遺体の本人確認をしていない。
・市井の民に助けられた(と考えられる)王師の軍人の登場シーンが3人分ある。1人目が主上(仮)、2人目が恐らく静之?、3人目の毎月お供えしに出かける親子が見つけたのが誰なのかがまだ不明。
・明確な根拠がないが、主上(仮)の特徴で明らかになってるのは、主上の特徴と符号する髪と目の色と身分のだいぶ高い人の身なりだった程度(それ以外は不明)。主に主上の顔をよく知らない阿選の手先に、失踪する前に何らかの情報収集をしてた様子もあるし、主上ほどの人なら事前に奇襲を察知して、周到に準備して臨んでると思うのです。よって主上(仮)=影武者?
・主上が持ってるはずと言われる「戴の宝重」がまだ不明。治療する機能があるらしいので、そんな大事なもの持ってたはずなのに何の説明もなく亡くなるか?
琅燦裏で糸引いてる説
琅燦はおそらく驍宗の親派。
阿選には普通に話していたけれど、驍宗には6年経っても様をつけて話していた。
傀儡になる、病む……のあたりだけど、阿選に刃向かうと里ごと焼かれる、反逆を企てると首謀者が阿選派になる、とあります。「内乱を起こさせない」ために驍宗親派が宝重か呪具の類を使って反逆者の牙を抜いているのではないでしょうか。現状を打破して、今より状況が悪くなることを何より恐れている。驍宗がいない、戻る見込みもない。だからこそ、可能な限り現状を維持し、システムを変えずに国を動かさない。ゆるやかに国が荒廃していくとしても、何も変えなければ新たな怨嗟は生まれないため。
阿選に反逆する者は魂魄を抜かれるというのは、阿選を守ろうとする故の行動ではなく、阿選が玉座に座っても「国を荒らさせない」ため、人々を殺す口実を与えないため、なのではないでしょうか。あまりに著しく国が荒れると「王は何をしているのか」という怨みが募る。
怨みは穢れとなって麒麟を蝕む。
厳しい冬、民は鴻慈を集める。驍宗がもたらした小さな希望にすがる。そのたびに民は王に感謝する。天意は失われない。
阿選が何もしないこと、阿選に何もさせないこと、阿選が玉座に座る今を維持することが、結果的に泰麒と驍宗を守っている。
阿選を討ったところで、正当な王が玉座に戻らない限り、国は荒れる一方。偽王でも王であり、誰かが玉座を埋めなければならない。阿選を討ったとして、誰が玉座に座るのか。一旦内乱が起きれば、国は崩壊の一途を辿り、荒れた国を立て直すのは非常に難しくなります。ならば、「可能な限り人を死なせなせず、反抗心のある者の魂魄を鳩で抜き、凪を維持する。というのを琅燦がやっているのではないか?
あまりにも多いので、とりあえず今回はここまでです。
次回もどんどん紹介していきます。